「日本のマジョリティーは、中道の人たちだと思います。大事なのは、中道の人たちの穏健な考えが反映された世論形成を維持していくことです。議論の多様な側面を検討する視座が必要です」
一方、米国政治に詳しい上智大学の前嶋和弘教授も「日本の中道は健在」と見る。
「一定の中道層が存在し、それが現下の国際情勢を反映して少し右寄りになり、与党を後押ししている状況といえるでしょう」
その理由として、日本のメディアに対する信頼度が維持されていることを挙げる。
英オックスフォード大学ロイター・ジャーナリズム研究所が22年に発表した調査結果によると、ニュースに対する信頼度(世界平均42%)は米国が最も低く26%、日本は44%だった。前嶋教授は言う。
「日本では中道の層の人たちが従来の主要メディアを信頼しています。この20年の米国の変化の大きさに比べ、今のところ日本の変化は緩やかだと思います」
(編集部・渡辺豪)
※AERA 2023年1月16日号