「32歳でヨガにハマったんです。あるとき、友達から『マントラを唱えに行こう』って言われて、何もわからないまま参加したんです。大晦日の前日に、マントラを108回唱えるというものなんですけど。そしたら、めちゃくちゃ覚醒して、『私は、俳優や音楽といったパフォーマンスと、セラピストやスピリチュアルカウンセラーの2本の道で生きていくんだ』っていうのが、光に包まれてワーッと見えたんです」
だが、同時に冷静な自分もいたという。
「学生時代に楽器をやっていたけど、とっくにやめていたし、『今さら音楽?』みたいな気持ち。まして、カウンセラーになるなんて考えたこともなかったから」
覚醒は3日間続いたが、その後、その感覚はすっかり消えてしまったらしい。
「あれは何だったんだろう?って思いました」
だが、以降もスピリチュアルな感性はどんどん活性化していくのだった。
「離婚の直前ですね。本当にしんどかったときに、『私はハワイに行く』と直感したんです。その後、夢の中に見たことのない景色が出てきて、3カ月後にハワイへ行ったら、全く同じ景色に遭遇しました」
夫との離婚が成立すると、見なくなっていた夢も再び見るようになったという。以降、かなでさんは占星術やパワーストーンを学び始め、スピリチュアルの世界にバリバリと入っていく。
専業主婦をしていたかなでさんにとって、自分の足で立つことは、とてつもない恐怖だったという。経済的余裕はなく、ド貧乏が当たり前の生活が始まったのだ。
「それまでそれなりにいい生活をしていたから、お金がなくなったらどうなるのかがわからなかったんです。それで、どうなるんだろうと思って試しにお金がなくなるまで使ってみたんですね」
当たり前のように言っているが、かなり奇妙な行動だ。
「で、なくなるじゃないですか。そしたら、人に貸してもらうしかないじゃないですか。まともに物事が考えられないから、まずはやってみるしかない!と」
こうして、リボ払いで買い物をしたり、消費者金融でお金を借りたりするようになった。
「ポチッと押すと、箱からお金が出てくる!すごい!みたいな」
まるで、初めて機械を目にした未開人のようだ。
「当時は、本当におかしかったんですよ。うつ病だし、離婚直後だし、今までできていたことができなくなって……」
スピリチュアルな感性は冴え、離婚後に始めたスピリチュアルカウンセラーの仕事は、難なくできていたという。
「だって、メッセージが降りてくるから」