
現代日本に生きる女性たちは、いま、何を考え、感じ、何と向き合っているのか――。インベカヲリ☆さんが出会った女性たちの近況とホンネに迫るインタビュー、前編からの続きです。
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石月かなでさん(40代前半)は、パンケーキを食べる手を止めると、唐突にこう言った。
「結婚生活が上手くいかなくなって、父が死んだことも受け入れられなかったし、そのころ、高熱を出したりもして、ちょっと肉体を離れていたんじゃないかなっていう時期があったんですよ。頭のネジがおかしくなったんでしょうね。そのころから、チャネリングでメッセージが降りてくるようになったんです」
「……!?」
困惑する私をよそに、かなでさんは続ける。
「イタコみたいな感じで、別次元とつながるんですね」
よく見ると、かなでさんの腕にはパワーストーンのブレスレットもついている。聞けば、スピリチュアルな能力は、子どものころから備わっていたらしい。
「中学生のころは、よく音楽が聞こえてきましたね。例えば、マラソン大会とかで、走り始めた瞬間に音楽がバーッと聞こえてくるんですよ。でも、一度『うるさい!』って心の中で怒ったら、自然と聞こえなくなりました。『波に乗ってるな』って思うと、おみくじで大吉を引いたり。野性の勘みたいなものが働くんです」
だが、こうした不思議な能力は、岩手から上京して彼と付き合うようになると、「閉じてしまった」という。
「元夫は、すごくエネルギーの強い人だったんです。彼と付き合った瞬間、『あ、人生変わった』って思いました。彼の配下に入ったっていう感覚がすごくあった。それまでは、寝るとよく夢を見ていたのに、付き合い始めたとたん、全く夢を見なくなったんですね」
「配下」という言葉は象徴的だ。彼との関係は、「守る者」と「守られる者」だったようだ。
「私は結構ふわふわしているのに、付き合ってから離婚するまで、危険な目にほとんど遭わなかったんです。それを霊能力のある友人に話したら、『彼が無意識に結界を張っていたんだろうね』って言われました」
かなでさんの話は続く。
「彼と一緒にいると、音楽をかけるときも、自分の好きな曲を流そうという気にはなれなかったんですよ。彼の世界に私がいるのであって、私の世界に彼がいる状況はつくれなかったんです」
11年間の交際期間は、「閉じた」まま過ぎていった。ところが、結婚生活にほころびが出始めると、再び能力が戻ってきたらしい。中学生のときに体験した音楽も、また聞こえてくるようになった。
同じころ、こんな体験もしている。