マッチングアプリのサービスも多様化し、さらに手軽に。事前のメッセージ交換なしに男女がデートができるアプリもある(写真 Getty Images)

 結婚相談所の入会に必要な「独身証明書」の提出も、連盟が義務付けているルールの一つだ。独身証明書は、民法第732条「重婚の禁止」の規定に抵触しないことを本籍地の市区町村役場が証明する書類。既婚者が身分を偽って会員になるのを防ぎ、サービスの信用性を保っている。

 身分証のみで登録するマッチングアプリでは、いくら相手が「独身」と主張していても、その保証はない。結婚相手を探していたのに「実は既婚者だった」というのは「アプリあるある」。

 SNSやマッチングアプリで恋愛感情や親近感を抱かせ、金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」も多発している。警視庁によると、2024年1~9月のロマンス詐欺の被害額は約271億円で、前年同期比159億円も増加した。被害者が加害者に最初に接触したツールは、マッチングアプリ(30.8%)が最多だという。

 相手の素性はユーザー自身が見極める必要があるなど、「アプリ婚活のスタイルには向き不向きがある」と結婚相談所マリーミー代表で恋愛・婚活アドバイザーの植草美幸さんは述べる。「恋愛経験が少ない男女にとっては、アプリ上でのやり取りや判断が難しい場面もあるかもしれません」

手軽さ重視の出会いに拍車

 そもそも、アプリそのものが玉石混交。2010年代以降、スマートフォンの普及とともにマッチングアプリは広がった。実名制のFacebookを活用したOmiai(オミアイ)に始まり、ランダム表示される異性から好みの相手を選ぶ「スワイプ型」のTinder(ティンダー)や、年齢や年収といった条件で絞る「検索型」のPairs(ペアーズ)などが人気を集めてきた。訴求層も、恋人づくりの「恋活系」から結婚目的の「婚活系」までさまざまだ。昨今は「メッセージのやりとりが面倒」という声にこたえて、Dine(ダイン)のように、システム側が日程調整や飲食店の予約を行ってくれる機能も登場した。手軽さ重視の出会いに拍車がかかっている。

 結婚相談所ganmi代表の三島光世さんは、「さまざまな婚活サービスで試行錯誤し、最終的に結婚相談所へと行きつく流れは王道」と指摘する。

 三島さんのおすすめは、複数のサービスを並行して使うことだ。結婚相談所と同時にマッチングアプリで婚活。著書に『婚活は「がんばらないほうが」うまくいく』がある三島さんは、「結婚は特別なもの」と思い込む婚活は長引きやすいと話す。

「この人と一緒になれば何かが変わるかも、と結婚を神聖化するほど、婚活沼にはまりがちです」

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