過去5年以内に結婚した人の4人に1人が、出会いのきっかけが「マッチングアプリ」だ(写真 Getty Images)
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 既婚者の4人に1人が結婚相手との出会いのきっかけが「アプリ」という現代。マッチングアプリの利用が活況を迎える一方で、結婚したい若者の間で、結婚相談所の利用が急増している。

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「無理だったら別れればいっか、くらいの気持ちで結婚しました」

 そう話すのは、東京都内の会社員女性(28)だ。4年前、4歳年上の男性と結婚したが、1年後に離婚している。

 元夫との出会いはマッチングアプリがきっかけだ。女性はいわゆる「婚活」ではなく、「遊び目的」と割り切って利用していたという。「自分で自分を守らなくちゃいけないから、出会った男性との会話では必ず、本名、職場、住所のどれかを探るようにしていた」。

 離婚理由については、「夫の性格が原因」と語る。

「感情のコントロールができなくて、怒鳴ったりものを投げたりするんです。最後のけんかで、“殴るよ”と言われたことが決め手でした」

 女性は、元夫と出会ったアプリから乗り換えて、別のマッチングアプリで新しい出会いを探している。

4人に1人がアプリ婚

 2024年、こども家庭庁が15~39歳の男女を対象に実施したウェブアンケートによると、過去5年以内に結婚した人の出会いのきっかけは、マッチングアプリが25.1%で最多だったという。いまや「4人に1人がアプリ婚」という活況を迎える一方で、結婚したい若者の間で、結婚相談所の利用が見直されている。

 業界最大手のIBJ(日本結婚相談所連盟)は、2023年上期の20~30代の入会数が、2018年比で約2倍、20代男性では約3倍と急増した。IBJ傘下の結婚相談所ZWEI(ツヴァイ)の中野大助社長によると、「相談所利用者の約6割がマッチングアプリ経験者」だという。

「学生時代からアプリに親しんでいた20代は、婚活サービスへの抵抗が少なく、 ひと昔前の“自然な出会い”にも幻想を抱いていません。結婚相談所では身元が保証された複数人の異性と、同時進行で交際できる。 “タイパ”重視の風潮も、後押ししています」(中野さん)

 ただし、年齢が若いほど「自分はいつでも結婚できる」と思いがち。せっかく始めた婚活への諦めが早いのもこの世代の特徴だそう。マッチングアプリと異なり、結婚相談所では「婚活アドバイザー」によるサポートに重きを置いている。「仲人さん」的存在として、男女に寄り添い、「成婚」(結婚が決まること)へと導くのがその役割だ。

 結婚相談所の開業に資格は必要なく、その規模は個人事業から大手企業まで幅広い。また、業界には「連盟」と呼ばれる仕組みがあり、全国の相談所と会員を結ぶネットワークの役を担っている。連盟大手のIBJには、4千社を超える相談所が加盟し、加盟店を含めた登録会員数は9万人以上。同じ連盟内の相談所であれば、互いの会員データにアクセスでき、数万人規模のなかから縁談相手を照会できる。

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