[撮影:蜷川実花/hair & make up 佐藤真希/styling SUGI(FINEST)]
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 アーティストの與真司郎のフォトエッセイ『人生そんなもん』が4月16日に発売される。約2年前、ゲイであることを公表した與が語る「自分らしさ」とは──。AERA 2025年4月21日号より。

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──與が幼い頃は、同性愛者を揶揄するような描写が当たり前のようにテレビで放送されていた。「異性に恋愛感情を抱けない自分は病気ではないか」と思い詰めていた時期もあったという。幼少期の頃の日本といまの日本では変わったと思うか。そう尋ねると、「すごく変わったと思います」と即答した。

 僕のカミングアウトに対し体感で9割くらいの方々が応援してくれたという事実もそうですし、カミングアウトをしてもこうして変わらず雑誌の表紙に起用していただけることもその証しだと思います。「特別なことではない」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、僕からしたら「カミングアウトをしても変わらず仕事ができるんだ、ありがたいな」という感謝の気持ちはいまだにあります。

 かつての僕がカミングアウトしたアーティストが表紙に起用されている雑誌を手にし、インタビューを読み、「自分らしく生きていい」というメッセージを目にしたとしたら、間違いなく勇気をもらえると思う。自分自身がそこまで大きなことをしたとは思っていないですが、そういう人が一人でも増えたらいいな、とは思っています。

──とはいえ、「日本に限らず、都市部と地方では意識の差はまだあるのかもしれない」と語る。

 アメリカでも、たとえばニューヨークやロサンゼルスといった大都市では男性同士が手を繋いでいる姿は日常的に目にします。男性同士のカップルの姿を親が子どもに見せないようにする、なんてこともありません。アメリカに限らずヨーロッパでも、政治家や俳優、アーティストたちのカミングアウトはタブー視されていないですよね。

 でも、都市部から離れた場所に行くと、男性同士で手を繋いでいる姿は一気に見かけなくなります。日本でも同じことが言えるかもしれませんね。

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