
僕が幼い頃に比べたら取り巻く環境は大きく変わったとは思いますが、まだまだ「自分には関係のないこと」と思っていらっしゃる方はいるのかもしれません。「批判しよう、ジャッジしよう」という方は少ないですが、「そもそも関係がない」と思っていらっしゃる方は少なくないのかもしれませんね。
毅然とした態度で
LGBTQ+の人々は、左利きである人と同じくらいの割合で存在すると言われています。自分の周囲には「いない」ということは、恐らく「言えていない」ということ。東京のゲイバーに集う人のなかにも、「じつは親には言えていない」という方もいるそうです。そうした事実を知ったうえで、「本当は身近にもいるのかもしれない」というマインドを持ってくれるだけで救われる人はいるのかな、と。
──いま36歳。仕事やプライベートで、どのような未来を思い描いているのだろう。
仕事もプライベートも楽しく、自分らしく生きていきたい。自分らしく生きることにプライオリティーを置くと不思議と自信もつき、結果的に人にも優しくなれるようになる。本当の自分を隠していた頃は、イライラしていることが多く、他人に対して「なぜそんなことを言うのだろう」と思いながら生きていましたが、いまは変われた気がします。自分を愛し、自分のことを認めていたら、自己肯定感も上がっていくものなんです。
もし将来的に結婚することになったら、僕は相手と街なかを手を繋いで歩くと思います。それでメディアに写真を撮られたとしても、毅然とした態度でいたいな、と。自分は自分、他人は他人。他人の目を気にしすぎる必要はないこと、そして世の中には自分とは合わない人もいるものなんだ、ということもこれまでの人生で学んだことです。
僕は良くも悪くもアメリカナイズされているところがあると自覚していますが、日本人ならではの優しさや相手を思いやる気持ちは忘れたくない、と思っていて。さまざまな価値観に触れたことで得られた“いいところ”を取り入れながら生きていきたい、と思っています。
(構成/ライター・古谷ゆう子)
※AERA 2025年4月21日号より抜粋