魚雷バットがプロ野球をさらに面白くする?(ZUMA Press/アフロ)
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 話題の魚雷バットは野球人気向上のための一手になりそうだ。攻撃力が上がり得点が多く入ることでエンタメ性を高め、更なるファン拡大に繋げる考えも見て取れる。

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「魚雷(トルピード)バット」はボールを捉える芯部分が最も太く、先端に向けて細くなる形状。振り抜きに優れ鋭いスイングを生み出すとされる。また芯の位置も手元寄りに移動しており、「近年の打者は手元寄りで打つケースが多い」というデータにも即していると言われる。

「物理学の研究結果を落とし込まれており理にかなっている。MLBの伝統球団ヤンキースの選手が使用して結果を出したことも勢いをつけた。ルール範疇のギアなので、結果に繋がるなら使用選手が増えるのは間違いない」(在米スポーツライター)

 昨年プレーオフでヤンキースの主砲ジャンカルロ・スタントンが魚雷バットを使用して7本塁打。また今季開幕シリーズのブリュワーズ3連戦では、同バットを使用したヤンキースの5人で9本塁打を放ったことも話題となった。米メディアESPNによると、同5人のスイング速度が前年比で上がっていることも明らかになっている。

「米国では『野球は点取りゲーム』という認識が強く、長距離打者の人気が高い。一時期、ステロイド等の禁止薬物を使用して本塁打数が激増したのにもそういった背景がある。魚雷バットはルールに則った合法なギアなので何ら問題はないため、今後も使用選手は増えて打高投低が進むはず」(在米スポーツライター)

 MLBではベーブ・ルース(ヤンキース他)の時代から本塁打(=長打)は野球の華とされてきた。2000年代にマーク・マグワイア(カージナルス他)、サミー・ソーサ(カブス他)、バリー・ボンズ(ジャイアンツ他)等が信じられない数の本塁打を放ったが、薬物使用も表面化して汚点となった。しかし魚雷バットに関してそのような心配は無用ということだ。

大谷翔平ドジャース)が人気なのは本塁打を打てるから。MLB人気に押され気味のNPBも現状に気付いて素早い動きを見せた。今までは投打のバランスを考え低反発球の使用もしたが、ここから先は思い切ったシフトチェンジをしそう」(在京テレビ局スポーツ担当)

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