
今年の巨人の選手起用で昨年と大きく変わったのが、捕手だ。ソフトバンクの正捕手だった甲斐拓也が昨オフにFA移籍し、今年は甲斐が全試合でスタメンマスクをかぶっている。
甲斐は「甲斐キャノン」と称される強肩に、球界屈指のブロッキング技術を兼ね備え、投手の良さを引き出すリード能力が高い。打撃が課題に挙げられるが、シーズン2ケタ本塁打を4度マークしており、パンチ力はある。FAで獲得した背景を考えると、正捕手で起用するのは当然と言える。今季は打撃でも期待以上の働きを見せ、4月10日終了時で打率.372と好調だ。

バランス取れた3人が今季は出番なし
阿部慎之助監督の就任1年目だった昨年、巨人は岸田行倫、大城卓三、小林誠司の3人の捕手を起用して、4年ぶりにリーグVを果たした。巨人を担当するスポーツ紙記者はこう振り返る。
「三者三様でそれぞれの良さがありました。岸田は攻守で総合力が高く、大城は『強打の捕手』として大きな魅力がある。小林は近年出場機会を減らしていましたが、昨年は菅野智之(現オリオールズ)が登板したすべての試合で先発マスクをかぶり、最多勝に輝いた菅野を支えました。非常にバランスの取れた3捕手の起用法だったと思います」
だが、3人とも今年はほとんど出番がない。昨年チームトップの72試合で先発マスクをかぶった岸田は途中出場で1試合のみ、大城も途中出場で5試合のみの起用。小林は開幕からファームで調整を続けている。
「菅野がメジャー挑戦したため小林のチャンスが少なくなることは予想されていました。大城は守備面の評価が高いとは言えず、昨年も一塁手として起用される試合もあり、捕手での出場が減っていた。しかし、甲斐の加入で一番あおりを食らったのが、岸田でしょう。守備型の捕手ということで甲斐とタイプが重なる。同期入団の大城を追いかける立場でしたが、昨年はリーグトップの盗塁阻止率.475をマークしました。捕逸、失策が多いなど改善点もありますが、昨年試合に出続けたことで大きな手ごたえを得られていたと思います」(スポーツ紙デスク)