そして昨季の昇格プレーオフを勝ち上がってクラブ初のJ1昇格を果たしたファジアーノ岡山は、開幕9試合を終えて勝点14(4勝2分け3敗)の8位と序盤の“サプライズ”となっている。木山隆之監督の元で昨季までのベースを崩さず、チームの団結力を維持したまま、新たに加入したDF立田悠悟、工藤孝太、MF加藤聖、江坂任がレギュラーとして機能。守備では守護神GKブローダンセン、攻撃では1トップに入る一美和成とルカオが奮闘し、平均ボール支配率42.9%、1試合平均パス数345.2本ともにリーグ最下位ながら、両サイドからクロスボールを多用したスピーディかつ鋭い攻撃で1試合平均シュート数11.9本とゴール期待値10.2はともにリーグ9位となっている。ただ、横浜FC同様に戦力的に長いシーズンを考えると再びのJ2降格の危機に立たされるかもしれず、「これで一安心」とは到底言えない。強度、運動量が落ちる夏場の戦いが鍵になるが、それでも序盤の戦いぶりで本拠地スタジアムだけでなく地元・岡山の街も大いに盛り上がっており、その熱気がチームにも伝播する相乗効果が期待できる。何より、チームとしての戦い方が明確。今後も旋風が続く可能性は大いにある。

 このJ1昇格組の共通点に、秋葉監督が就任3年目、四方田監督、木山監督が4年目で、昨季までの戦い方を今季も継続していることがある。「魔境」と呼ばれるJ2も着実にサッカーのレベルがアップしており、そこから勝ち上がったチームには“自信”と“勢い”がある。昨季はFC町田ゼルビアがJ1初昇格シーズンを3位で終えたが、今季も昇格組がJ1リーグを大混戦に導き、面白くさせそうだ。

(文・三和直樹)

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