そして迎えた2025年、松山は開幕戦のザ・セントリーからいきなり快挙を達成する。初日を8アンダー65で回り1打差2位タイ発進すると、2日目も同スコアで首位に浮上。3日目は11アンダー62と爆発しトップをキープすると、最終日も8アンダー65とさらにリードを広げ通算35アンダーで優勝した。

 通算35アンダーは、2022年大会でキャメロン・スミス(オーストラリア)が記録した通算34アンダーを更新する72ホール最多アンダーパーのツアー新記録。松山は、これまで単独首位で最終日を迎えると全て優勝しているが、この優勝で5戦全勝とし、勝率10割を死守したことになる。

 その後の松山は、ソニーオープン16位タイ、ザ・ジェネシス招待13位タイ、アーノルド・パーマー招待22位タイと、上位進出こそないが安定したプレーを継続。ザ・プレーヤーズ選手権とバレロテキサスオープンで予選落ちしたものの、3月30日時点の世界ランクは6位、フェデックスカップランキングも8位としており、今回のマスターズでも優勝候補の一人として見て良いだろう。

 ショットの正確性に定評がある松山だが、今季のスタッツを見るとグリーン周りのプレーが秀でている。パーオンしなかった場合にパーまたはバーディでホールアウトする確率を示すスクランブリングが71.89%でツアー2位。グリーンサイドバンカーから2打以内でホールアウトする確率であるサンドセーブも、82.00%で同じくツアー2位につけているのだ。

 ちなみに昨季の松山は、スクランブリングで2位となっており、ストロークス・ゲインド:アラウンド・ザ・グリーンはトップ。ツアーで一番ショートゲームが上手かったわけだが、今季もこのランキングで3位に位置しており、小技がスコアメイクに大きく貢献していることが分かる。

 マスターズの舞台となるオーガスタはショットメーカー有利と言われるが、ショットがグリーンを外した時でもしっかり寄せられることは大きな武器となる。これにガラスのグリーンと言われる高速グリーンを攻略できれば、2度目の快挙も大きく近づくはずだ。

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