
「財務省は解体しろ!」「消費税を廃止しろ!」。3月下旬。午後5時過ぎ。東京・霞が関の財務省の庁舎前で抗議の声が上がった。行われたのは「財務省解体デモ」だ。今、こうした財務省に対する批判的なデモが頻繁に開催されているが、「陰謀論」も登場している。なぜなのか。AERA 2025年4月14日号より。
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今回のデモで特徴的なのは、様々な人が集まっている点だ。日の丸を掲げ保守的な主張をする人や、「陰謀論」の視点で財務省解体を訴える団体もある。
「財務省前デモ」が始まる1時間半ほど前には、別の団体が同じく財務省前でデモを開催。「ディープステートの手先 財務省解体!」と書かれた横断幕を広げ、「財務省解体」を叫んでいた。
「ディープステート」とは「闇の政府」。政府や大企業などが密かに権力を持ち続け、国の方針を操っているとする考え方だ。このデモに参加していた50代の男性は、物価高で生活が苦しいと言い、こう話した。
「そのためにはまず財務省の解体です。世界を支配するディープステートが裏で手を引いてますから」
財務省への陰謀論まで起きているのはなぜか。
陰謀論に詳しい専門家は、「陰謀論を信じる人は、元々陰謀論を信じる信念を持っている」と指摘する。
「学術的には『陰謀論的信念』と言い、この信念を持つ人は、陰謀論の種類に関係なく、陰謀論全般を信じやすい性質を持っています」
「実は」に惹かれる人々
それを実証した「Dead and Alive」という有名な論文があるという。12年に政治心理学者らが発表した陰謀論に関する研究で、そこには交通事故で亡くなった英国のダイアナ妃の死を事例に考察している。