
4番の岡本和真、新加入のキャベッジ、甲斐拓也らを中心に打線好調な巨人の中で、状態が上がってこない坂本勇人が気になる。開幕から6試合出場で17打数1安打、打率.059、0本塁打、2打点(4月7日時点)。1安打2打点はいずれも同学年の田中将大が登板した4月3日の中日戦で記録したもので、この試合以外は無安打無打点。三塁のレギュラーという立ち位置も微妙になっている。
スポーツ紙デスクは、坂本の現状についてこう語る。
「三塁の守備能力の高さで言えば球界屈指です。ただ、打撃で力を発揮できないとスタメンで起用し続けるのが難しくなる。中山も力をつけていきますし、定位置をはく奪される可能性があります」
三塁にコンバートされて初めてシーズンを完走した昨年は三塁で初のゴールデングラブ賞を受賞したが、打撃は振るわなかった。109試合出場で打率.238、7本塁打、34打点。レギュラー定着以降、けがなどで83試合出場に終わった22年を除けば自己ワーストの成績だった。
今年のオープン戦も打率.115と調子が上がってこなかった。三塁のポジションを争う中山礼都が打率.304と結果を残したため起用法が注目されたが、阿部慎之助監督は3月28日のヤクルトとの開幕戦では坂本を「6番・三塁」でスタメン起用した。球界を代表するスーパースターは大事な試合で結果を出してきただけに、阿部監督もその勝負強さを評価したのだろう。だが、2度の併殺打に倒れるなど5打数無安打。2戦目は出場機会がなく、その後も中山がスタメン起用される試合が増えている。4月6日まで巨人は9試合を戦い、坂本のスタメンは4試合。半数以上の5試合は中山が三塁でスタメン出場している。
凡打に倒れた結果だけでなく、坂本の打席内容も気がかりだ。ひっかけた内野ゴロが多く、打者のカウント有利な場面で直球に差し込まれる。巨人OBは気になることがあったという。
「スイングスピードの遅さを指摘されていますが、坂本は若手の時から決してスイングスピードが速いわけではない。遠心力をうまく使って、バットに球を乗せる技術が高いので長打を飛ばせる。それが今は最大の長所だったしなやかさが失われ、打撃が崩れているように感じます。速い球に差し込まれたくないという意識が強いのか、始動のタイミングを速くしていますが、体の開きが早くなり変化球に泳がされている。このまま1軍でプレーするより、ファームで打撃を修正した方がいいように感じます」