
天皇陛下や皇族方はいずれも外国語に堪能で、訪問先の国や外国からの賓客と通訳を介さずに親しく接遇する光景も珍しくない。しかし、その懇談の肉声を一般の人たちが耳にする機会はほとんどない。というのも、指定された場所で遠くから撮影するため、音声を拾えないことがほとんどだからだ。
宮内庁職員を長く務めた皇室解説者の山下晋司さんは、その背景をこう解説する。
「懇談相手にマイクを装着して会話を拾うことが許されているのは、いまのところ園遊会だけです。両陛下や皇族方が接遇相手と懇談する際の肉声は、取材設定がある場面で、かつ取材位置から拾えたものは使用しても特に問題はないのですが、もっぱら会話を録音するためにマイクを突き出したりすることはお断りしているはずです」

それでも令和に入ると、雅子さまが英語で生き生きと交流する場面を目にする機会も増えてきた。20年ぶりの外国訪問となった23年のインドネシア訪問では、大統領夫妻とアットホームな雰囲気で言葉を交わす映像もニュースで流れた。
肉声を聞くことができる場面はそう多くはなかったが、水槽で泳ぐ魚について大統領から説明を受けた皇后さまが、「Do you feed them ?」とたずねた映像が流れた。
前出の多賀さんが言う。
「昨年の英国訪問でもそう長いセンテンスではありませんが、皇后さまの音声つきの映像が流れました。これからは、皇后さまが英語でスピーチをなさる機会も訪れるでしょう。宮内庁のユーチューブ公式チャンネルでは、陛下や皇后さまのそうしたお姿もぜひクローズアップしてほしいですね」
(AERA編集部・永井貴子)