
凍結防止で管を深く
一方、青森県に次いで高いのが北海道で4452.5円。宮城県、山形県、茨城県、岩手県と続く。浦上教授は言う。
「東北、北海道は水道管の凍結を防ぐために、水道管を深く埋めるので、南の地域よりも工事のコストが高くなります」
とはいえ、南でも料金が高い県は多数ある。人口密度が低ければ、人口に対して水道管の距離が長くなりコストがかさむからだ。一方、人口密度が高い地域では、効率的に水を送ることができて、料金を抑えられる。
東京都は10番目に安く、月平均2815.3円だ。
「東京は人口が極端に多く、東京都水道局が持つ広大な土地の地価が高騰しているので、向こう40年は料金が上がらないと言われています」(浦上教授)
一方、神奈川県では人口が多く平均使用料金が抑えられてきたが、じつは限界だという。
県内のおよそ3分の1にあたる、12市6町の約285万人に水を供給する神奈川県営水道(県水道部経営課)の担当者は言う。
「職員数を減らして業務委託をする自助努力をして、コストを削減してきましたが、値上げするしかないところまできました」
水道使用量は減り、ピーク時と比べ料金収入は2割も減った。水道管の更新は待ったなしだ。県内全体で、法定耐用年数40年を超えた水道管の割合を示す老朽化率(管路経年化率)は22年度で30.5%。全国平均23.6%よりも高い。県営水道の給水区域では、23年度は9120件の漏水があった。
神奈川県営水道は、18年ぶりに値上げに踏み切った。昨年10月から26年10月まで段階的に平均22%値上げする。4人家族で月23立方メートル使用するなら、値上げ前より797円上がり、3873円になるという。(編集部・井上有紀子)
※AERA 2025年4月7日号より抜粋