
食品や日用品など値上げラッシュが続くなか、暮らしに欠かせない水道料金も4月から多くの自治体が値上げする。自治体によって大きく異なる水道料金をみてみると「北高南低」の傾向がみえてくる。AERA2025年4月7日号より。
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水道料金の値上げが全国で続いている。4月から埼玉県本庄市では平均約40%値上げする。値上げの理由は水道管の老朽化対策だ。約20年後までに96%の市町村(水道を経営する団体)で値上げが必要だという試算もある。
すでに老朽化による事故は全国で多発している。今年1月に埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故は、下水道管の破損が原因とみられている。2月には、千葉県大網白里市で道路の一部が陥没して、水が激しく噴き出した。これも上水道管が破損したのが原因とみられる。
厚生労働省によると、日本の地中には、地球18周分の水道管が埋められており、このうち40年以上たち老朽化のリスクがある水道管は4周分に上る。
人口減で収入も減
水道事業は独立採算制であり、経費は料金収入で賄わなければならない。このため、水道料金は全国一律ではなく、最大8倍の格差がある。人口減少や家電の節水効率の向上によって、水道の使用量が減り、料金収入も減少傾向だ。
水道事業に詳しい近畿大学の浦上拓也教授は言う。
「全国的に水道管の整備が落ち着いたところで、バブル経済が崩壊して、ここ30年間は値上げせずにきたのですが、いよいよ水道管の老朽化が深刻化しています。時代の転換期にいます」
具体的に、全国の水道料金を見てみよう。昨年4月1日時点で、20立方メートル(2〜3人家族が1カ月に使う量の目安)の平均使用料金をまとめた。
都道府県で最も安いのは神奈川県で2261.9円だ。最も高いのは青森県4548.6円で2倍以上の差がある。
「北に位置する地域ほど料金が高く、南の地域ほど料金が安い傾向にあります」(浦上教授)
たしかに、神奈川県に次いで安いのが、豊かな水源がある山梨県、愛知県、静岡県。