加藤晴彦さん(撮影/写真映像部・和仁貢介)

気づいたときには疲れ切っていた

 いくら売れっ子のタレントとはいえ、「人間らしい生活」とはほど遠い。そんな毎日が繰り返されていくなかで、加藤さんの中では「自分がどんどん壊れていっているんじゃないか」という気持ちが大きくなっていった。

「当時所属していたのがとても小さな事務所で、僕が休むと経営が厳しくなる状況で……スケジュールや体調管理、時には交渉事も自分でしないといけない環境でした。タレント自らが仕事相手に交渉をするなんて生意気に映ったかもしれませんが、守ってくれる人がいないがゆえに『自分が頑張らないと』という気持ちばかりが先走っていました。今のように『心のケア』なんて発想がない時代だったので、当然危険信号に誰も気づかない、自分で気づいたときには疲れ切った状態でした。あまりにも『人間・加藤晴彦』の部分を失ってしまっていて、それを取り戻したいなと思ったんです」

 そして30代に入り、徐々に仕事をセーブしていった。その過程で世界がガラリと変わる私生活での変化もあった。

(藤井みさ)

※【後編】<2児の父となった「加藤晴彦」が“失礼な保護者”に怒り心頭 小学校の運動会で体験した「非常識な父親」の振る舞いとは>に続く。

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