
中学時代は「短ラン」に「ボンタン」
デビューのきっかけは中学2年のとき。名古屋市出身の加藤さんは、クラスの女の子に勧められ、NHK名古屋制作の『中学生日記』のオーディションを受けることになった。
「当時は、短ランボンタンを着ているような元気な男の子でしたね(笑)。普段からテレビも漫画も見なかったので、思い出づくりのつもりで受けました」
そんな軽い気持ちで受けたオーディションだったが、見事に合格。最初はまったくセリフもなかったが、中学3年の秋、1度だけ主役に抜擢された。その演技が同じNHK名古屋の全国ドラマ制作チームの目に留まり、高校1年のとき、1936年のベルリンオリンピック女子200m平泳ぎで金メダルを獲得した前畑秀子さんをテーマにした「前畑がんばれ」(NHK名古屋制作)で息子役を演じることに。役者を目指していたとしたら、これほどとんとん拍子のステップアップはないが、この時点でも「芸能界に入ろう」という考えはまったくなかったのだという。
そんな気持ちとは裏腹に、芸能界との距離は縮まっていく。高校3年のとき、親友に『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』を受けないかと言われ、これまた軽い気持ちで応募。読者投票で1位を獲得するなど注目を集め、上位10数名に絞った最終審査へと進んだ。

「最終審査では『何か特技を披露して』と言われていたんですが、何もできることがなかったので、勢いで習ったこともないのに『ダンスやります』って。もちろん全然できないので、友達に軽く教えてもらって本番ちょっとだけ踊ったら、あとは棒立ちでした(笑)」
そんな状態だったにもかかわらず、結果的に審査員特別賞を受賞。名古屋での大学進学も決まっていたが、高校卒業間近にドラマ「アリよさらば」(TBS系)のオーディションを受けることになり、右も左もわからないまま上京することになった。
ドラマをきっかけにどんどん仕事が舞い込むようになったが、周囲と自身の気持ちにはズレがあったという。