パ・リーグTVのホームページには様々な動画コンテンツが並んでいる

嶋基宏の球審突き飛ばし動画は976万再生

「パ・リーグTV」はパ・リーグ6球団が07年に設立したパシフィックリーグマーケティングが運営するインターネットテレビ。パ・リーグ全球団の試合を動画配信するとともに、名場面や珍プレーなどを取り上げて編集した動画も配信している。おもしろい動画は100万回再生を突破することもしばしばだ。

 最も視聴されたのは楽天の嶋基宏(現ヤクルトコーチ)がキャッチャーフライを捕ろうとして球審を突き飛ばし、すぐにフォローを入れる動画で再生回数は976万を突破。現在はタレントとして活躍する杉谷拳士が日本ハム時代、本塁打を打ってベンチに戻ったのにナインからスルーされる動画は744万再生。杉谷はパ・リーグTVの愛されキャラで、100万再生以上の動画が何本もある。

 澤村拓一が20年のシーズン途中に巨人からロッテにトレード移籍し、入団会見後に他の選手のユニフォームを着て日本ハム戦で即登板、3者連続三振を奪った動画は、野球ファンから「パ・リーグTV史上最高傑作」の呼び声もある。何台ものカメラで澤村が雄叫びを挙げる場面が繰り返される動画の再生回数は355万を超えた。

 齋藤友貴哉(日本ハム)が昨年8月27日の楽天戦で登板した動画も話題になった。延長11回に登板すると、安打や自らの失策、ベースカバー遅れによって、無死満塁のピンチを作ってしまう。それでも後続を抑えて無失点で切り抜けると、両腕を突き上げてガッツポーズ。自ら作ったピンチを抑えただけなのに優勝したかのようなガッツポーズ姿に、ベンチの新庄剛志監督やコーチが大爆笑。選手たちも両腕を突き上げるポーズをまねして突っ込みを入れた。【優勝しちゃった…】とタイトルを付けられたこの動画は、7カ月間で140万再生を記録している。

「齋藤はパ・リーグTVで取り上げられて一気に知名度が上がりました。試合を球場やテレビで見られないファンにとっても、こういった動画を見られるのはうれしいでしょう」(日本ハムを取材するスポーツ紙記者)

 パ・リーグTVが好プレーをまとめた「【勝っても】本日のナイスプレー【負けても】」や、ほっこりするシーンや選手の人柄が伝わる一コマを取り上げた「【まとめるほどではないまとめ】」などの動画も人気で、ファンの心をつかんでいる。今年の開幕前には毎年恒例のパ・リーグ6球団の監督座談会「FANS MEETUP 2025『監督編』」が動画で配信され、各球団の監督がパ・リーグを盛り上げようという強い意欲が感じられた。

 こうした取り組みが、パ・リーグの球団や選手への関心を高め、観客動員数の大幅な増加につながっているのだろう。セ・リーグがうかうかしていると、「実力のパ、人気のパ」にもなりかねない?

(今川秀悟)

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