幹事長になってむしろ遠ざかる? 総理大臣の椅子

小川 その後、日本社会はどうなっていったか。昨年7月の都知事選挙で石丸(伸二)さんが次点になったり、11月の兵庫県知事選挙で斎藤さんが再選したり、NHK党が暴れまくっている感じだとか、それを許容する社会の風潮だとかね。
「財務省解体デモ」もそうです。いい・悪いは別として、いろいろと変化があった5年間です。
国民民主党さんの「減税すべき」っていう主張についても思うところはある。減税の意義は認めますが、いろんなことをバランスよく考えなきゃいけない局面なんじゃないかなと。今こそ冷静な議論が必要なのに、その「冷静さ」が、社会に通用しにくくなっている。
それと、確実にいえるのは、世界情勢の影響は無視できないということ。
第2次トランプ政権、ドイツの極右政権の台頭。あらゆる世界の政治の劣化、変化と、日本の変化は相関関係にあると思う。その側面から見ても、むしろ5年前のほうがましだったんじゃないか。5年分、悪化、劣化してるんじゃないか。そういう土壌の中で、さきほど述べたような、自分のパーソナルストーリーはある。
と同時に、さらに5年経ったらどうなっているのか……ものすごく危機感がありますね。
大島 そうですね。今日は当たり障りのないことを言うのはやめようと思ってここへ来たんですけど、2020年6月に映画(『なぜ君は総理大臣になれないのか』)を公開したとき、小川さんは無所属の議員だったんですよね、当選5回目の。
和田 大島さんの本音が楽しみです。小川さんは当時、立憲会派でしたね。
大島 会派ではあったけれども無所属だった。それが今は野党第一党、しかも大きく議席を伸ばした第一党の幹事長。ナンバー2なわけです。当然、総理大臣というポジションに、外形的には5年前よりも近いわけです。
だけどね。私が小川さんに密着して撮影していた時より、むしろ(総理大臣から)遠ざかっている気がするんですよ。失礼ですよね。ごめんなさいね。
小川 いやいや、全然気にしませんよ。
大島 それは小川さんの問題だけではなくて、党の問題もあるだろうし、もっというと世界の問題なんですよね。世界の政治情勢を考えたときに、小川さんが日本国のリーダーになる姿っていうのが、果たしてあるんだろうか? と、正直思っています。

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「誰が総理の座につくか」は、国際社会で日本のリーダーはどうあるべきか、を視野に入れて考えるべき。
鼎談は、『戦争を起こさない』未来のために、人権や自由への価値観、政治の役割へと進んでいく。
(次回に続く)
(文・黒川エダ)
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