オウム真理教の教祖・麻原彰晃元死刑囚=1995年6月

麻原家に対する不満も?

――この1、2年の間に、アレフで「師」クラスの幹部に脱会の動きがあると聞いています。

 何人かについては、私も確認しています。アレフ内には、麻原家族による裏支配の問題がずっとあり、幹部間に不満が起きているという情報には現実味があると思います。つい最近にも、大幹部の1人が脱会したという情報がありました。未確認ですが、もしかしたら今回は分派の動きにもなるのではとうわさされています。

――幹部の離反には、何か背景があるのでしょうか?

 団体規制法の再発防止処分(2023年)がかかってしまったことだと思います。これによって、アレフは寄付の受領を禁止され、教団施設の使用も禁止されている。施設使用の制限は新しい信者を入会させるための道場活動そのものを直撃する。もう2年近くになるので、耐えきれなくなっている支部もあるのではないかと思います。

 アレフが被害賠償の支払いを渋るようになり、資産を隠してしまったことが再発防止処分の経緯です。教団活動ができなくなってしまうほどの大きな方針転換なので、信者だけで決められるはずはなく、麻原家族の権威を背景にした何らかの関与が推認されます。教団の運営を追い込むことになる判断を下した麻原家に対して不満が渦巻いているのかもしれないですね。

――アレフ内部に大きな変化を感じますか。

 教祖に対して幹部信者が離反するとか、教祖家族が分裂するというようなことは、実は10年周期で起きています。麻原の宗教活動が始まったのが1984~85年。その10年後の95年に教団は地下鉄サリン事件を起こしましたが、その際に逮捕された多くの幹部が教祖の麻原を告発しました。その10年後の2004~2005年、改革か麻原絶対かで、私と麻原家族の間での対立・分裂がありました。さらに10年後の2014年には今度は麻原家内で大きな分裂が起きました。そして今回の2024~2025年の動き。非常に見事な10年周期です。カルト集団なので、そんなに長くは続かないということなのか、どこかで利害対立が出てくるんだと思います。

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繰り返される「オウム的なもの」