
大阪・関西万博で、また新たな不安要素が出てきた。万博の最大の目玉とされている木製の大屋根「リング」の足元で、海水による地盤の浸食が起きていたことがわかった。
万博は、海に囲まれた人工島の夢洲(ゆめしま)で開催される。この立地を生かそうと、万博会場の一部には海水が注入され、水面が広がっている。海水が入れられたのは、大屋根「リング」の外側にある「つながりの海」と、「リング」の内側にあり水中ショーなどが予定されている「ウォータープラザ」だ。
ところが日本国際博覧会協会は3月10日、会場内で海水と接する護岸の一部の盛り土が、海水に浸食されていると発表した。「つながりの海」と「ウォータープラザ」の護岸あわせて約1100メートルのうち、半分以上の約600メートルの護岸が海水に浸食されたという。水を入れるために造った場所に、実際に水を入れたら護岸が崩れてしまったという、おそまつな話だ。
「崩落が日ごとに拡大していった」
護岸が浸食されているのを見たという現場の作業員Aさんは、こう証言する。
「私がおかしいと思ったのは、2月末か3月初めでしたね。海岸通りと呼ばれている、万博で人気になりそうなパビリオンが集まっている場所から見たところ、護岸の土が崩落していて、日ごとに拡大していきました。現場からも『大丈夫なのか』と声があがっていた。3月5日か6日には、海岸通りあたりにけっこう多くの関係者が集まり、写真を撮ったり、相談したりしているのを見たので、ヤバイんじゃないかと感じました」
協会によると、浸食の原因は、「風の影響により水面の波が高かったため」と「ウォータープラザとつながりの海の水位差により水の流れの発生」があったことだとしている。会場内に入れた海水には波も流れも起きず海水に浸食されることはないと想定していた、ということのようだ。