
注水の2日後には浸食を確認していた
3月13日の参議院内閣委員会で、立憲民主党の石垣のりこ議員がこの問題をとりあげて質問した。まず浸食がいつ、なぜ発生したのかを問うと、経済産業省幹部は、
「護岸の浸食を確認したのは2月19日」
と答弁。ポンプで海水を注水し始めたのは2月17日なので、わずか2日後には浸食を把握していたことになる。
浸食の原因については、
「波の高さが想定以上に高くなってしまった」
などと答えた。これに対して石垣議員が、
「風が吹いて波が立つことを想定できなかったのか。想定できなかったのは問題ではないか」
と、さらに追及すると伊東良孝万博担当相は、
「私も現場の視察をしてきた。なぜコンクリートか何かで(護岸を)固めなかったのかと思う。ごくごく当たり前の波がきたら崩れてしまうように思った」
と、想定すべき波への対応ができていなかったと問題を認めた。
建築エコノミストの森山高至氏はこう話す。
「海水で土砂が取られる『洗掘』という現象ではないか。一般的には、盛り土の上をコンクリートで固めるなどして補強をする。なぜ補強していないのか不思議でならない。それでなくとも、万博会場は地盤が弱いことが指摘されており、どんなアクシデントがあるかわからない。夏場に台風が来ればもっと波は高くなる。開幕前からこんなことで、半年間、無事に開催できるのか」

雨が降ると池になる駐車場
AERA dot.では、これまでも万博会場の地盤の問題を指摘してきた。
昨年4月には会場予定地の水はけが悪く、雨が降ると池のように水がたまってしまう状況をリポートした(記事)。朝から断続的に雨が降った日、それほどの豪雨でもないのに、万博会場の北に位置する駐車場には水がたまり、車が出入りするたびに波打ち、長靴で歩く作業員の姿があった。
当時、話を聞いた作業員のBさんは、こう話していた。
「雨が降ると池かと思うほど水浸しになるので、車にはいつも長靴を積んでいます。それほど水はけが悪い地盤なんです。万博会場の北側、大手ゼネコンが請け負っている区域の駐車場はとりわけ水がたまりやすく、雨が降るとポンプを設置して、排水をしてなんとかやっている。工事にも影響しています。万博期間中に豪雨が降ったらどうなるんでしょうか」