
日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「高齢の祖父母の健康」について、鉄医会ナビタスクリニック内科医・NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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私の父方の祖母は、認知症です。94歳になる祖母が認知症を患って、もう8年が経ちました。認知症を患った当初は、以前お話し[※1] したようにとても大変だったようですが、今は処方されている薬があっているようで、ひとり歩きなどもなく落ち着いていると聞いています。献身的に日々介護をしている両親はもちろん、祖母の兄弟姉妹の支えもあり、日々穏やかに過ごすことができているそうです。
母方の祖父母も、健在です。90歳を超えた祖父は糖尿病を患い、過去に脳梗塞を3度起こしたことがありますが、コロナパンデミックをきっかけに「もう薬は飲みたくないんや!」と薬をもらいに通院することを拒否。いくつか飲んでいた薬の内服も、自分で中断してしまいました。「その方が、体調がとてもいいみたいよ」と祖母は私に教えてくれました。
携帯電話をなんとか使いこなせる80代後半の祖母とは定期的に電話をしたり、LINEでメッセージを交換したりしています。しかし、祖父は携帯を持っていません。おまけに耳が遠いため、電話をしても私の声がとても聞こえにくいようで、電話にもなかなか出てもらえませんでした。そのため、祖母から祖父の近況を聞くことばかりで、てっきり変わりなく過ごしていると思っていたのです。
祖母が乳房外パジェット病で手術に
母方の祖母は、骨髄線維症[※2] を患っています。長年体調不良が続いた末、昨年受けた詳しい検査の結果、原因が判明しました。しかしながら、「今の生活を維持したい」と、内服治療による延命を希望せず、貧血がひどくなったら輸血を希望するという治療を選択したのでした。