日本ハムの新庄監督
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 日本ハムの新庄剛志監督が同一リーグの西武について、「名古屋移転」を提言したことが東京スポーツで報じられ、大きな波紋を呼んでいる。

【写真】ドーム球場なのに柱の間から外気が入り込む西武の本拠地

 事の発端は、野球評論家の江本孟紀氏が、自らのYouTubeチャンネルで西武の本拠地移転に言及した発言だった。江本氏は西武を強化する方法について語る中で、「名古屋に移ったらと。名古屋の人口だったら2球団あっても面白い。パ・リーグがいたら面白いじゃないですか」と持論を展開した。

 これに反応したのが新庄監督。東京スポーツによると、3月11日のロッテとのオープン戦前に取材陣に対応したとき、江本氏の発言に同調して、以下のように語ったという。

「江本さんがすごい良いこと言ってて。西武ライオンズが名古屋に行ったらいいんじゃないかと。やっぱりあのドーム球場(ベルーナドーム)、屋根だけあって夏めちゃくちゃ暑くて、冬めちゃくちゃ寒くて…遠い。でも名古屋っていう場所は結構野球に熱心だし。中日見たらわかるようにね。江本さん、いいアイデア出すなぁ、と」

 さらに、選手の移動面でも適していると強調した。

「名古屋の岐阜寄りの場所に土地があるから。そこに球場作ったらだいぶ選手たちも楽になる。(べルーナドームへの移動で)渋滞にひっかかったらもう(時間が)計算できないから。めちゃくちゃ(ドームに)早く行かないと行けないし」

西武の選手も「他球場のほうが快適」

 新庄監督の発言は、試合をする選手ら現場の感覚から出てきたものだろう。西武の本拠地であるベルーナドームは、選手たちの評判が芳しいとは言えない。これはベルーナドームの構造に問題がある。屋根を支柱で支える形状なので、ドームなのに支柱の間から屋外の風や雨が吹き込んでくる。このため、春先には肌寒さを感じ、梅雨時には湿気が入り込み、夏場はすり鉢状になった球場に熱気がこもってサウナ状態になる。温暖化が進む中、近年はこの球場で熱中症や体調不良を訴える選手が目立つ。

 西武の現役選手は新庄発言に複雑な表情を浮かべる。

「正直に言えば、他球団の球場のほうがプレーする環境は快適ですよ。特に冷房が効いたドームは天国に感じます。うちもドーム球場ですが、空調が利いていないのでコンディション調整が大変です。OBの方たちに聞くと、屋根を取るだけで全然違うと言っていました。夏場は空気がこもらなくなるのでそこまで暑さを感じないと。寒さは我慢できますが、厚さ対策には限界がある。改善して欲しいとは思います」

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西武関係者は「身売りしろと言うようなものだ」