
受験で得た「段取り力」
「東大受験で得たのは段取り力だと思うんです。自分が目指すゴールから逆算して今の自分との距離を縮めていく。東大受験を自力で乗り越えたことが、その後の人生に役立っていると思います」(高田さん)
一方、「いつの間にかレールに」と振り返るのは元首相の鳩山由紀夫さん(69年、工学部卒)。鳩山家は5代連続で東大進学。小中は学習院に通ったが、高校は都立小石川高校に。東大合格者数でトップを走る開成高校出身のゲストは、クイズプレーヤーの伊沢拓司さん(2017年、経済学部卒)と角野隼斗さん(20年、大学院情報理工学系研究科を修了)。「開成から東大を目指すのはそんなに珍しいことではなかった」(角野さん)という。伊沢さんは「学校に行くだけでいい塾の先生とか、いい教材とかの情報が入ってきた」と言い、対談では予備校や講師の具体名を挙げて紹介している。
合格者の数が高校のランク付けの指標となり、「東大」がブランド化するなか、経済学者の成田悠輔さん(11年、大学院修了)は、「この国で東大コンプレックスがこれだけ大きいのは、多分、難易度が絶妙だから」と語った。東大の合格者は1学年約3千人。出生数が80万人(対談当時)なので0.3%ほど。届くようで届かないからこそ、コンプレックスを抱く人が多いのだという。(編集部・深澤友紀)

※AERA 2025年3月17日号

