
【鴻上さんの答え】
筋肉大事さん。
僕は、NHKBSで「cool japan」というテレビ番組の司会をもう19年ほどやっています。NHKのBSが二波から一波になったことで、今年度からレギュラー放送ではなく、不定期の放送になって年に数回になりましたが、なんとか細々と続いています。
番組は、毎回、8人の一般外国人をスタジオに呼んで、あれこれと日本について話します。
タイトルが「cool japan」なので、番組を見てない人は、「日本バンザイ番組」だと思って批判するのですが、番組の基本コンセプトは、「これはcoolなのか、coolではないのか?」を、8人の外国人と話し合うというものです。
その番組で、一度、オリッピックを取り上げたことがありました。たしか2012年のロンドンオリンピックの後だったと思うのですが、特集した動機が「日本人は、オリンピックに騒ぎすぎじゃない?」という外国人達の素朴な感想がきっかけでした。
イタリア人男性が「日本のテレビを見ていたら、オリンピックの期間中、テレビで毎日、『今日は金メダルを何個、日本人選手が取りました。これで通算、金メダル何個、銀メダル何個、銅メダル何個で、これは世界何位です』とニュースにしている。どうして?イタリアだと、国別に比較して、世界で金メダル何位、なんて報道しないよ」と本当に不思議そうに語りました。
司会の僕は、「えっ? じゃあ、陸上競技で、〇〇選手が金メダルを取りましたってニュースにならないの?」と聞くと、「ならないね。誰も見ないから」と当然のように答えました。
この発言にアメリカやヨーロッパの人達は、当然のようにうなずきました。
僕が「どうして!?」と返すと、ブラジル人男性が「だって、知らない人が高く跳んだとか、遠くに鉄の球を投げたとか、何が面白いの?」と、本当に信じられないという顔で言いました。
いろいろと話してみると、本当に欧米では、よっぽどのことがない限り(100メートル走で世界新が出たとか)、基本的には自国の選手が金メダルを取っても、それは、特別なニュースにならないという傾向を知りました。大事なニュースの後に、さらりと伝えるだけだと言うのです。
まして、金メダルの獲得数が世界で何位、なんていう打ち出し方はほとんど見たことないと、欧米の外国人は語りました。