のん

声優としても逸材

「戦時中の日本を描いたこのアニメは高い作品性が評価され、異例のロングランヒットとなりましたが、のんさんの芝居も少なからず後押ししたと思います。テレビでも彼女の芝居は表情がとても豊かですが、この作品を見ると声にもちゃんと表情が乗っていて、これは天賦の才と言っていいレベルです。俳優では神木隆之介さんが声優としても非常に評価が高いのですが、アニメ関係者の間では、のんさんも神木さんクラスの逸材だと言われています。現在はアマゾンオーディブルで湊かなえさんの小説『未来』の朗読をやっていて、こちらもすこぶる評判がいい。声優としてのポテンシャルはとてつもなく高いと思いますね」

 元週刊SPA!副編集長で芸能デスクの田辺健二氏はのんの今後をこう分析する。

「若くして『あまちゃん』という作品で当たり役を引き寄せ、改名してからも自分のペースで独自の表現を貫いてきたのんさん。『あまちゃん』から12年がたち、連続ドラマの世界に帰還したことは運命的な何かを感じますが、だからといってあの頃のイメージをのんさんに押し付け勝手に期待するのはいささか乱暴なように思います。本来ならとっくにトップ女優になっていた逸材と言われていますが、のんさんは自分で選んだ表現の道を歩き続け、ひたむきに芝居をし続けた。これは回り道ではなく、表現者であることにこだわりを持つ彼女にとっては必要な道のりだったと思います。進化したのんさんがメジャー作品に返り咲き、ここからどう巻き返していくのか、注目したいですね」

 女優として圧倒的なポテンシャルを秘めながら、テレビドラマから長らく消えていた女優・のん。数奇な運命をたどりつつ、晴れてメジャー作品に復帰した彼女の本領発揮に期待したい。

(藤原三星)

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