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「あまちゃん」を知らない若い世代も

「『ホットロード』の原作は伝説の人気漫画で、原作者は幾度となく映像化の打診を断っていたのに、のん(当時は能年玲奈)さんの存在を知って実写化を許可したといわれています。しかも『あまちゃん』放送前からこのキャスティングは決定していたそうなので、いかに当時の彼女が女優としてのポテンシャルを秘めていたのかがわかります。松竹のメジャー作品として制作され、相手役の登坂広臣さんもちょうど脂がのりまくっていた頃で、大ヒットとなりました。歴代の朝ドラ女優の中でも理想的なステップアップだったため、各局から連ドラ主演の企画が持ち込まれていたようですが、その頃にはすでに事務所と契約や待遇面でもめ始めており、思うように仕事をすることができなかったようですね」(週刊誌の芸能担当記者)

 独立・改名後、女優としては能年玲奈時代の理想的な流れには乗れないまま現在に至っているが、「あまちゃん」のイメージが強すぎたことも、その後の活動に影響を与えたのかもしれない。

「『あまちゃん』は各メディアが行う“歴代ランキング”企画でも1位の常連で、24年にBSで全話再放送された際も大いに話題になりました。いまや存在しない“能年玲奈”という女優の存在が、『あまちゃん』を伝説化させたのかもしれませんが、逆に同作のイメージがいまだに強すぎて、それ以上の作品を生み出せてないというのも、女優としては不運なのかもしれません。ただ、今や『あまちゃん』を知らない若い世代もいるようなので、今回のドラマで圧倒的な演技力を見せつければ、新たなファンを獲得できる可能性はあります」(前出のドラマ制作スタッフ)

 一方、改名後の唯一の「代表作」と言えるのは、長編アニメ「この世界の片隅に」かもしれない。主人公・すずの声をみずみずしく演じたことで話題となったが、16年に国内63館という小規模で始まった本作は、3年近くもロングラン上映され興行収入は27億円を突破した。声優としての素質についてアニメ系雑誌の編集者はこう話す。

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声優の才能は神木隆之介クラス