
今年、東京大学や京都大学など難関大学を突破した合格者たち。栄光をつかんだ生徒の素顔とともに、熾烈な受験競争を支えた親たちの献身から合格の秘訣をひもといてみる。
清水悠吾さん 芝高校→国際教養大学 国際教養学科
秋田県秋田市にある国際教養大は、2004年に創立された日本初の地方独立行政法人運営による単科大学だ。英語をはじめ、外国語でのコミュニケーション能力を重視し、授業のほとんどが英語で行われる。全国各地のみならず、海外からの留学生も多く、卒業要件には最低1年間の海外留学が含まれる。
グローバルワークショップ入試で合格した清水さんは雪深い秋田での寮生活を心待ちにしている。
「雪国でもある米国北部のミシガン州にも住んでいたので、秋田に郷愁を感じるんです」
父親は仕事上転勤が多く、清水さんは小学1年生から3年生までをインドで、中学1年から中学3年までを米国で過ごした。長い海外生活で英語は堪能になり、異文化交流が当たり前の環境にいたことで、自然と志望校は固まっていった。
「具体的に国際教養大を第1志望にしようと決めたのは高3の春あたりです。8月には秋田のキャンパスでのワークショップに参加して、より決意が固まりました」
グローバルワークショップ入試に出願するには、このワークショップへの参加が必須要件。参加するにも審査があり、全国から希望者が集まる。今年は環境の開発と保全のバランスについてをテーマに講義やグループワークがあったという。
清水さんはこれまでの学生生活で両親から指示をされたり、何かを義務付けられたりするようなことはほとんどなく、「自由放任主義だった」と言う。母親がこう話す。
「海外を転々としていたので、塾に入れて、習い事はこれをやらせてというような英才教育的なものはまったくできなかったんです。元々するつもりもなかったんですが、行く先々で元気に生活してくれることを一番に考えていました」
ただ、中学受験をするかしないかは大きなポイントだったという。