
アーティスト、SHUN SUDO。37歳のときNYで個展を開き、アーティストとしてデビュー。SHUN SUDOの描く世界は高く評価されている。中でも、花とボタンを組み合わせた鮮やかな色合いの「ボタンフラワー」は多くの人を魅了する。世界は時に怒りや悲しみに満ちる。ボタンフラワーの存在が人と人、国と国とをつないでいけたらと願いを込める。
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赤や黄、オレンジなど鮮やかな色彩の花々がキャンバスからあふれんばかりに咲き誇り、その花芯を成すのはボタン。「ボタンフラワー」と呼ばれる躍動的な花のモチーフは、「SHUN SUDO(シュン スドウ)」の作風を象徴するアイコンとして知られている。
2024年11月、東京・銀座のGinza Sony Parkでは翌年1月のグランドオープンを前に、3人のアーティストによる特別展を開催。工事中の真っさらな空間を使った実験的な試みで、その一人がSHUN SUDO(須藤俊・47)だった。
会場では、ニューヨーク・ヤンキースのキャップにナイキのスニーカーとラフな装いの須藤が片隅にたたずみ、観客に質問されると穏やかな笑顔で答えている。コロナが明けてから久しぶりに海外を旅し、フランス、イギリス、スペイン……と旅先で感じたものを描いたという。
「自分の中に新しい風を入れたいなという思いがありました。いろんな国を旅していると、その土地独特の空気感があり、日本とは異なる風や光を感じられる。ボタンフラワーをその風に踊らせたらどうなるのかとイメージしながら描きました」
パリの街では五輪前の華やいだ空気に包まれ、日暮れまで趣ある建物が並ぶ路地を散歩した。スペイン・バルセロナではアントニ・ガウディが手がけたグエル公園で緻密なモザイクタイルに触発され、インスピレーションが次々湧いてくる。ボタンフラワーにも反映され、繊細な色彩や柔らかなフォルムに。須藤にとって「ボタンフラワー」とはいかなる思いを象徴するモチーフなのか。
「花とボタンを組み合わせたボタンフラワーは、僕のピースアイコンです。花は人の心を癒やしてくれるものであり、ボタンは衣服の生地と生地を結びつけるものだから、世界中の人と人、国と国をつないでくれるような存在になればいいなと」
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ボタンフラワーの原点は2015年にニューヨークで初の個展をした時にさかのぼる。NYの街に花が浮上する絵を描いた際、花の中心にスマイルマークなどいろいろ入れていたら、ボタンが自分のテーマと重なった。街には多様な人々がいてそのパワーに圧倒される。一人ひとりを花に例え、湧きあがるエネルギーをイメージして描いた。