物価高の中、制服代は家計の大きな負担となっている(写真はイメージ/gettyimages)
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 東京都品川区は2026年度以降の新入生を対象に、区立中学校の制服無償化を打ち出した。22年、公正取引委員会が公立中学1200校に対して行った制服価格の調査によると、男子用ブレザーの最高値は5万5000円、女子用セーラー服は7万2000円で、“隠れ教育費”として家計を圧迫する一因になっている。夏服・冬服に加えて予備の制服もそろえれば、出費はさらに膨れ上がる。そんな中、中古の制服を“サブスク”で貸し出したり、破格の値段で販売したりと画期的なサービスを提供する企業もあるが、課題は多いようだ。

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 あまり知られていないが、北海道十勝地域に暮らす中学生の3人に1人は制服を購入しない。新品の制服を買うと男女ともに1セットあたり約4万~5万円かかるが、地元で学校用品のレンタル事業を営む「ぎゃくし」(帯広市)を利用すれば、1年あたり1万4410円(税込み)で中古品を借りられるのだ。

 3年間レンタルし続けると、合計金額は購入した場合と大差ない。しかし最大のメリットは、1年ごとに体の成長に合わせた制服を選べるため、買い替え費用が発生しないことだ。同社社長の瘧師(ぎゃくし)博一さんはこう話す。

「男の子は、中学の3年間で平均15センチ身長が伸びると言われます。中1で買う制服を中3まで使おうとすれば、入学式ではダボダボのオーバーサイズなのに、卒業式ではズボンがお尻に食い込み、スネ毛がはみ出る……という悲しい事態になります。制服レンタルを利用した保護者からは、『子どもがこんなに大きくなるとは思っていなかったので、サイズを変更できて助かる』という感謝の声を数多くいただきます」

 同社は5年ほど前、定額借り放題のサブスクリプションサービスを商品化した。最初に4万1690円(税込み)を支払えば、卒業まで何度でもサイズ変更が可能で、かつ通常のレンタル料金よりも割安となる。

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