一人のプロ野球ファンとして見た再開発問題

神宮球場の売店。シャッターが閉まっていると神宮球場の歴史的な写真が現れる(撮影:佐藤創紀/朝日新聞出版写真映像部)

──書籍内でも触れられていますが、神宮の歴史を描くうえで、近年の再開発問題はセンシティブな問題ながら、避けられなかったのではないかと思います。長谷川さんはもともと肯定派だったのでしょうか。 

長谷川:愛着のある場所なので、「できればそのまま残してほしい」というのが率直な思いでした。その一方では、連日のように神宮球場に通っていて、数々の不具合も痛感していたので、「やはり建て替えた方がいいのかもしれない」という思いもありました。強いて言うなら、当初は賛成なのか、反対なのか、自分でもわからないどっちつかずの立場でした。 

──取材を重ねるなかで長谷川さんの考えも変わっていったということでしょうか。

長谷川:変わっていきました。気持ちの揺れや心境の変化については書籍をぜひ読んでいただきたいのですが、反対派の主張も聞き、推進派の意見も聞き、その中で、「やっぱり建て替えた方がいいのだろう」となりました。 

──長谷川さんの心の動きは書籍で読んでいただくとして、取材の中で印象に残った言葉などはありましたか。 

長谷川:93歳になられた広岡達朗さんが口にした、「神宮球場は神聖な道場です」という言葉が印象に残っています。広岡さんらしい清新な言葉がとても美しかったです。

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意外と知らない神宮球場の光景