1926年に竣工した神宮球場。100周年を目前として、明治神宮全体が再開発問題で揺れている。2025年2月に『神宮球場100年物語』を出版した長谷川晶一氏は、この地を「定点観測」する熱狂的なヤクルトスワローズファン。神宮の「歴史」から「未来」、そして直近のシーズン観戦の楽しみ方まで、2025年プロ野球開幕前にうかがった。

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神宮球場全景。夏の間、プロ野球の試合中に花火が上がる「神宮花火ナイター」(撮影:佐藤創紀/朝日新聞出版写真映像部)
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2025年は神宮球場が竣工して99年の年

神宮球場内のレリーフ前で(撮影:佐藤創紀/朝日新聞出版写真映像部)

──まず、このタイミングで神宮球場の100年をまとめようと思った理由を教えてください。 

長谷川:子どもの頃から愛着のある神宮球場が、2026年に100周年を迎えると知り、「その歴史を調べてみたい」と思ったことが執筆のきっかけです。取材の前に『半世紀を迎えた 栄光の神宮球場』『明治神宮外苑七十年誌』をはじめさまざまな書籍を読むところから始めたのですが、明治神宮外苑全体はもちろん、あれだけ通っている神宮球場自体についてもまったく知らなかったことに自分でも驚きました。 

 詳しくは書籍を見ていただければと思いますが、東京六大学が中心となって神宮球場が誕生したことは漠然と知っていても、被災をしたこと、戦後のアメリカ軍の接収中に行われていたこと、ナイター設備を整えるまでの顛末など、調べれば調べるほど、「自分は何も知らなかったんだなぁ」という発見と喜びばかりでした。神宮外苑、そして神宮球場という壮大なプロジェクトはぜひ多くの方に知ってほしいですね。   

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最終的にこだわったのは「私的好奇心」