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認定NPO法人D-SHiPS32船団長(理事長)、上原大祐。二分脊椎で生まれつき歩けない上原大祐は、いつ会っても見事な車いす捌きで颯爽と動き回り、車いすだというのを忘れてしまう。小さいころから、やりたいことがたくさんあった。母はそれに対して「できない」と言わず、上原はやりたいことは全てやってきた。だが世間は「障害者」というだけで、「できない」を突き付ける。もっと自分たちのことを知ってほしいと、上原は日本中を動き回る。
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今年1月、長野県東御市の体育館で、パラスポーツ体験会「パラ小学祭」が開かれた。市内五つの小学校に通う5、6年生、約170人が集まり、ボッチャや車いすポートボール、車いすリレーに挑戦。ポートボールの審判として「ナイスパス!」「ナイスディフェンス!」と、ひときわ大きな声を響かせていたのが、元パラアイスホッケー日本代表で、D-SHiPS32理事長の上原大祐(うえはらだいすけ・43)だ。上原は生徒たちと一緒にこのイベントの企画運営を担い、各校を回って体験授業の講師も務めている。子どもたちからは「大ちゃん」と気軽に声を掛けられる。
上原は車いすでコートを走り回り、生徒が得点するたびに「ゴーール!」と叫んで腕を突き上げた。威勢のいい掛け声に生徒たちも盛り上がり、最後のリレーは大歓声に包まれた。
D-SHiPS32とは、2014年に上原が立ち上げたNPO法人だ。上原は二分脊椎という障害があり、生まれつき歩くことができない。車いすでの生活だが、それだけのことで多くの謎にぶつかってきた。なぜ、小学校に入れないのか? なぜシーカヤックの大会に出られないのか? なぜレストランの入店や、住まいの賃貸を断られるのか?
「謎の多くは、障害者を知らないことから生まれる。だから『知る』を届けたい」との思いから、D-SHiPS32を立ち上げた。障害児に野外活動やスポーツの機会を提供するとともに、障害のない人に対しても、パラスポーツ体験会などを実施している。
「これって謎だ、変えてやるという気持ちが、行動の原動力になってきました」(上原)
障害のある子どもの母として、当事者と親の支援に取り組む加藤さくら(43)は、さまざまな場面で上原と協働し、家族ぐるみの付き合いをしている。「大ちゃんを障害者だと思ったことは一度もない。車いすに乗っていろんなことをしている人」と語る。