“おとな二人旅”のラクさに驚き

 出発当日。今までは医療的ケア児の長女か足が不自由な息子が一緒だったので、出入国の手続きは優先レーンがありとてもスムーズでしたが、次女と二人なので当然ながらすべて列に並びます。でも、次女は手がかからないどころか、私の方が行動が遅いので手伝ってくれることもあり、新婚旅行以来の“おとな二人旅”のラクさに驚きました。普段は医療的ケア児の長女のケアのために機内でのビールも控えめにしますが、そんなことを気にする必要もなくガンガン飲めます。そしておそらく、幼稚園時代からハワイに行き来するたびに姉や弟を気にしていたきょうだい児の次女も、今回初めて自分のことだけを考えて過ごせた旅になったように思います。

 高3の次女は、もう海やプールでバシャバシャと泳ぐ年齢ではありません。写真を撮ってInstagramに載せたり買い物をしたりと、5年前とはまったく違う滞在の仕方でした。バスを待たずに歩いて移動したり、食事の時間を気にせず食べたい時に食べたいものを食べたり、ショッピングモールの端から端まで何往復もしたり、近道をしてエレベーターではなく階段を上がったりと、大半の人にとってはごく当然のことを次女と一緒にできたことにも大きな喜びがありました。

日本にもこの優しい雰囲気を

 ハワイの街は私たちが生活していた頃のままでした。年齢に関係なく杖(つえ)をついて歩く人がいたり、ものすごく派手な色の帽子をかぶったりミニスカートをはいたご高齢の方がいたり……と、もしかすると日本では振り返って見られてしまうような状況でも、ハワイでは通りすぎる人は誰も気にしません。おそらくご本人も、誰の目も気にせず自由に生活をされているのだと思います。

 そして車いすユーザーへの配慮も多く、海やプールには座ったまま入れる設備が完備されていますし、街中では一見とても怖そうな人も立ち止まって道を譲り笑顔で話しかけています。「文化の違い」と言ってしまえばそうなのですが、どうすれば日本にもこの優しい雰囲気が浸透するのかぁと何度も思いました。

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