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天皇陛下が2月23日、65歳の誕生日を迎えられた。皇后雅子さまや長女の愛子さまと一緒に過ごす陛下は、大きく口を開けて、感情豊かに笑う。しかし、学習院時代には「喜怒哀楽の感情表現が乏しい」と指摘されたこともあった。陛下の学習院時代を知る人物は、いまの陛下の豊かな表情は、ご家族との時間を積み上げた結果と振り返る。家族と過ごす陛下の笑顔を振り返ってみたい。
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「先日の作文は、東北旅行を題材にした作文でした。文章はきちんと書けていますし、車中から眺めた風景や停車駅での駅員の様子なども丁重に書かれていますが、どうも浩宮さんの人間が、というか感情があまり出てこない感じなんです。(略)現代の高校生らしい喜びや悲しみや怒りの表現に乏しいと感じました。(略)浩宮さんの場合には、題材的に限られるところからどうもしかたのないことですが、そういった喜怒哀楽の感情表現が乏しくなるんですね」
学習院時代に浩宮さま(現在の天皇陛下)が所属するクラスの主管(担任)を務めた小坂部元秀氏は、ご両親の明仁皇太子(現在の上皇さま)、そして美智子さまとの面談で、担当する現代国語の読解や鑑賞はよく出来ているものの、作文については「喜怒哀楽の感情表現が乏しい」と説明した。
すると美智子さまはこう話し、「母親」としての思いをにじませた。
「……そうかもしれませんね。それは、浩宮は長男ということで、私も色々と細かい点まで注意するようにしたため、のびのびしたところが多少不足するようになったのかもしれません」
小坂部氏の著書『浩宮の感情教育』で記録された、陛下の少年時代だ。
小坂部氏は「日常生活における喜怒哀楽という『私情』を漏らすことを抑制する心理が働いていたのだろうか」として、将来の天皇としての重責を背負い、「正しくあらねば」と感情にふたをして自身を律する浩宮さまに、複雑な感情を寄せた。