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涙をこらえる雅子さまにそっと
そんな陛下を、同級生のひとりはこう振り返る。
「感情的になることはなく、誰もが認める優等生。しかし、雅子さまとご家庭を持ち、愛子さまが誕生してその成長を見守り、ともに時間を過ごすなかでとても感情豊かに笑われるようになったと感じます」
愛子さまの誕生から4カ月が過ぎた2002年4月2日。陛下と雅子さまは、愛子さまの誕生後初めての記者会見に臨んだ。
初めて胸元に連れてこられた愛子さまを目にして、「本当に生まれてきてありがとうという気持ちで一杯になりました」と、ほほ笑む雅子さまの目元には涙がにじんでいた。
「今でも、その光景は、はっきりと……目に焼き付いております」
涙をこらえるように、視線が下に向いた。
「生命の誕生……」
感極まって言葉が途切れ、手で口元を押さえる雅子さま。陛下は、雅子さまの背中に手を伸ばし、トントンと2度、優しく押さえた。
2003年2月、陛下は43歳の誕生日会見で、父親の育児への参加が母親の負担を軽くし、子供との触れ合いを深めると話し、自身の子育て生活をこう明かした。
「子供をお風呂に入れたり、散歩に連れて行ったり、離乳食をあげることなどを通じて子供との一体感を強く感じます」
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家族との生活には大変な時期もある。
愛子さまが15歳の誕生日を迎えた2016年の年末ごろ、急に体重が落ちたことがあった。宮内庁が誕生日に公開した写真の愛子さまは驚くほど細く、世間には驚きが広がった。
陛下と雅子さまには世間のそうした反応は予想できただろうが、例年通り、愛子さまとご一家の写真を公開した。
そうした姿勢は友人に対しても同様で、東宮御所に同級生仲間とその家族を招き、陛下と雅子さま、そして愛子さまが歓迎する様子は、いつもと変わることがなかったという。
「一家の中で誰がリーダーシップをとるということでもなく、お三方が互いを信頼し、支え合っておられるように感じます」(同級生のひとり)