またたびでふにゃふにゃになってしまう猫だが…(写真はイメージ/gettyimages)
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 についての研究は、さまざまな角度から進んでいる。古今東西、猫をトリコにするといわれる「マタタビ」についての最新知見を、研究者に聞いた。マタタビには意外な効能があるという。

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どうして猫がフニャフニャに?

「猫にまたたび」とは言うけれど、マタタビを前にすると、なぜ猫はふにゃふにゃになってしまうのか。なめたり噛んだりするのか。いったい何に反応しているのか――。

 猫とマタタビの関係に注目する研究者が日本にいる。岩手大農学部応用生物化学科の宮崎雅雄教授だ。

 宮崎教授は2012年から研究を開始し、いくつもの研究成果を発表している。

「これまでにわかっていることは、猫がマタタビを体にこすりつけることによって、防虫効果が得られるということ。『本能行動』のひとつと思われます」

 猫がなめたり噛んだりしてマタタビが傷つくと、ネペタラクトールなどの活性物質の放出量が10倍以上になる。マタタビが傷ついたときの活性物質の組成比のほうが、蚊よけにより効果的だということもわかった。体にすりつけたり寝転がったりする時間も長いことも判明した。

マタタビをキメる猫(提供)

依存性・毒性は「なし」

 宮崎教授は「依存性」「ストレス誘発性」「肝臓・腎臓への毒性」についても調査。

 3年にわたってマタタビを与えられた猫たちの血液を検査したところ、肝障害や腎障害は認められなかった。また、マタタビに激しく反応する猫でもそれが持続するわけではなく、しばらくすると興味を失い、依存状態には陥らなかった。

 猫飼いにとっては心強いことに、マタタビの安全性は高く、毒性や依存性はないことがわかった。

 猫のみならず、ライオンなど一部のネコ科動物がマタタビに反応することがわかっているが、現在、宮崎教授は全ネコ科動物の反応を調査中だという。

「マタタビの研究を始めて驚いたのは、予想以上に世界からの注目度が高いということです」

 果たしてどんなことがわかるのか。きっと全世界の猫好きたちが、興味津々、研究発表を待っている。

みやざき・まさお/岩手大学農学部応用生物化学科教授。専門は生化学、分子生物学、分析化学、獣医学。猫の行動や生理について化学的な視点から研究している(本人提供)

(編集部・澤志保)

※「NyAERA2025」より一部抜粋

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