
天皇陛下は23日、65歳の誕生日を迎えられた。天皇陛下にとって、この1年で大きな出来事は何だっただろうか。天皇、皇后陛下の長女の愛子さまが生まれた2001年から皇室番組の放送作家を務めるつげのり子さんは、さまざまな出来事から天皇陛下の「お人柄」が垣間見えた、三つのシーンがあったという。
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国内で起きた災害のなかで、最も甚大な被害があったひとつが、昨年の元日に発生した能登半島地震だ。天皇、皇后両陛下は3月と4月に被災地を訪問し、そして9月の豪雨でも被災した石川県輪島市を12月にも訪れて、それぞれ被災者を見舞われている。

そのなかで、つげさんの印象に最も残っているのは、豪雨による塚田川の氾濫で被害を受けた地域を訪れた際の天皇陛下の様子だという。
塚田川の氾濫によって4人が犠牲になり、そのうちの一人が中学3年生の女の子だった。黙とうを捧げ、深々と頭を下げられた両陛下は、しばらくその場にたたずまれていた。そのおふたりの後ろ姿が、つげさんの心に残ったという。
「陛下も愛子さまという娘を持つ父親なので、ご自身の立場を離れて、娘を亡くした父の心情が胸に去来していらしたのではないでしょうか。深々と頭を下げられた後ろ姿から、国民と苦楽を共にしていこうという天皇陛下の姿が伝わってきました」
英国訪問では笑顔でおしゃべり
次につげさんが挙げた大きな出来事が、昨年6月の英国訪問だ。エリザベス女王の跡を継いで即位したチャールズ国王の招待で、国賓としての公式訪問だった。天皇陛下と雅子さまはともに英国留学の経験もあり、おふたりの思い出の地、オックスフォードも訪れた。
つげさんにとって印象的だったのが、チャールズ国王夫妻主催の晩餐会だった。チャールズ国王の隣に天皇陛下が座り、おふたりの笑顔は久々の再会を心から喜んでいることがうかがえるものだったと話す。
「笑い合う姿が印象的で、国と国との間には国境はありますが、人と人との間には垣根はないということを天皇陛下の姿によって強く印象付けてくださるシーンでした」