――ずばり、毎月どのくらいのお給料がありますか?

 生活費で使う分だけです。100万円だったり80万円だったり。頂いた分は全部使い切ってきました。実際には、会社の給料としては何億もいただいていると思います。でもそのほとんどを会社に上納していて、ホテルなどの投資に使ってもらっています。株式を上場しておらず、創業者一族のオーナーの一人なので、できることだと思います。

――手元に入るお金はまわして蓄えずに生きてきた、と。

 貯めておくのが気持ち悪いくらいです。とどまった水は腐る。会長は投資にまわし続け、人生を事業に捧げてきました。「金持ちになる」ことは意識しないで、一生懸命に仕事をしたあとは必ず「信用」がついてくる。ずっとそう信じて「会社ファースト」で生きてきました。何億も貯金をすることが必ずしも「しっかり生きている」ことにつながるとは言いづらいと考えています。

とんでもなくチャンス

――将来が不安だからと地道に貯蓄をすることを優先して、投資にお金をまわせない人もいます。

 貯めるだけはだめですよ! お金を牢屋に入れているようなもの。絵に描いた。お金は使ってあげなきゃ、死んでしまう。息ができない。たとえば不動産投資。今の日本の不動産価格の上昇はやや終焉に近いけれど、それでも安くてまだ買い時だと思います。夫と起業したのが1971年。そのあとすぐに(政策)金利は10%近くになりましたから、当時に比べると今は10分の1以下。とんでもなくチャンスに満ちていると思います。

 元手がなければ銀行に行って借り入れの相談をしてみてもいいと思います。たとえば「2千万円借りたいんですが」と聞いて断られるのか、借り入れできるのか。それはまさにリトマス試験紙みたいなもの。自分の実力を知るためにも一度行ってみてもいいと思う。実力を知らずに息つぎも十分にせず走っているから、疲れてしまって「無理だわ、できないわ」となる。それではもったいない。

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お金に関しても失敗したことがない