史上最多41個のメダル獲得に沸いたリオデジャネイロ五輪。その感動をいち早く見せてくれる総集編と言われれば、誰だって見たくなるというもの。正直、かなり楽しみにしていたのだ。が、蓋を開けてびっくり。そこにあったのはメダリストたちへの敬意などみじんも感じられないグダグダの五輪バラエティだったから。
「メダリストを祝う“豪華”ゲスト」と謳った出演者も、フジの大会テーマソングを歌ったEXILEの4人(誰が誰やら)に、ますだおかだ岡田、ハライチ澤部、カンニング竹山、おのののか、足立梨花と、ひな壇以上ひな壇未満の微妙な人選。そもそもこの手の番組にタレントや芸人は不要。百害あって一利なしだ。賑やかしが必要なら、柔道の篠原信一とか、バレーボールの大林素子とか、五輪経験者がいくらでもいるのに……。この人選で番組の姿勢がわかるというものだ。
はっきり言って、すべての演出が邪魔。メダリストたちに競技の話や、試合中何を考えていたか、どういう練習をしてきたか、とか、そんなことを聞いてくれるだけでいいのだ。なのに、余計なことばかりして、こちらの感動をどんどん薄めてくれるから頭にくる。
VTRに入る前、タレントたちが持ち回りで、「夢と感動を あ・り・が・と・う」と東京五輪招致の際の滝川クリステルの「お・も・て・な・し」風にいちいちやることになんの意味があるのか。その時間があれば、メダリストたちの話をもっと聞けたはず。女子たちを集めて、屋外に連れ出し、「あなたたちのためだけに」と花火を打ち上げるのも余計な演出だ。
一番ひどかったのが弁当タイム。メダリストゆかりの食材で作り上げた豪華絢爛メダリスト弁当なるものを選手たちにふるまうのだが、この弁当の説明がこれまた無駄に長い。三宅宏実選手の出身地北海道からはトウモロコシなどと延々食材の説明をやり出すのだ。旭山動物園のもぐもぐタイムじゃあるまいし、選手たちを見世物にしてどうするか。しかも、食べている最中に「お味はどう?」などとインタビューされ、落ち着いて食べられやしない。「お・も・て・な・し」を完全にはき違えている。
ご褒美というより罰ゲームに近いこの状況。帰国早々こんな番組に3時間もつき合わされたメダリストたちが気の毒過ぎる。メダル獲ってこんな扱いをされるなら頑張ってもしょーがない、と東京五輪へのモチベーションが下がったらどうしてくれようか。4年後に同じ過ちを繰り返さないために「ダラクシー賞」を贈る。
●ひやま・たまみ フジテレビの名誉のために付け加えるなら、最後5分間ほどのダイジェスト映像は秀逸でした ! これだけでよかったのに。