ドラマ「マイ・ワンナイト・ルール」のワンシーン。足立梨花演じる主人公の綾は、合コンで知り合った前田(木村了)とのワンナイトに挑むが… ©「マイ・ワンナイト・ルール」製作委員会

 パートナーとのセックスレスについて友人から相談を受けたり、女性の性について論じた上野千鶴子氏の著書を読んだりする中で、「性欲を持て余す女性たち」に対して共感はできなくても理解はできるようになった。

 女性向けのセルフプレジャー用品やエロティックな漫画作品が広く出回るなど、社会にも変化の兆しが見えてきた。

「性に対してオープンになりつつある今、エンタメというオブラートに包んで女性の性欲を描いたら、面白いと受け入れてもらえるかもしれない」

 勇気を出して、作品と向き合うことに決めた。

ワンナイトを推奨しているわけではない

 主人公を未婚の女性にしたのは、「カップル間だけでなく、パートナーがいない人にも性の悩みはあるはず」という、なかおさんの独身としての実感からだ。

 ただ、性欲を満たすために、自分なりのルールに沿った“一夜限りの恋”を追い求めるという尖ったキャラクター設定については、「あくまで漫画としての誇張表現で、ワンナイトを推奨しているわけではありません」と苦笑する。

「多くの女性たちはかつて、恋愛→性行為→結婚→出産という一連の流れを“幸せ”としてイメージしていたと思いますが、年齢や恋愛を重ねるにつれて、それだけではない現実を目の当たりにするものです。結婚を前提にしない性行為を楽しむ人がいれば、自慰で十分という人もいる。性欲との向き合い方はそれぞれです。誰かに迷惑をかけない限り、世間から責められる必要はないのでは……?と感じていました」

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女性の性欲の“リアル”