しんさん・なめこ/1974年、東京都生まれ。著書に『女子校育ち』『煩悩ディスタンス』『江戸時代のオタクファイル』など多数(写真:本人提供)
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 三笠宮家の彬子さまによる英国留学記が文庫化されてベストセラーになった。今後、女性皇族の自己プロデュースに期待がかかるという。漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さんが持論を語る。AERA 2025年2月17日号より。

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 昨年、三笠宮彬子女王殿下にお目にかかる機会を頂きました。品格と、宮家を支えている芯の強さをお持ちの方でした。英国における日本美術の研究で、英オックスフォード大学院で博士号を取得されたご経験を綴られた留学記『赤と青のガウン』では、短期間で日本美術の巡回展を実現させるためご苦労されたといった、様々なエピソードが紹介されています。公務の傍ら好きなことを研究され、才能を生かして大学で教鞭を執られている。女性皇族でここまでキャリアを積まれた方は初めてでは。

 皇后雅子さまは、華やかさと気品がおありで、海外の王室に引けを取らない存在感をお持ちです。もっとそれを出して頂いたら、海外で日本の皇室ファンも増え、国民の気分も「上がる」のでは。外務省の元キャリア官僚として、新しい形の皇室外交をおやりになりたいというご希望もあって皇室入りを決意されたと思いますが、「お世継ぎ問題」ばかりが先に立ち、つらかったろうと思います。最近は明るい表情の雅子さまを拝見することが増えました。(2019年の即位の礼の饗宴の儀で)デンマークのメアリー皇太子妃が、カーテシーをなさる前に雅子さまと自然にハグをされ、お二人の仲の良さが分かる微笑ましいご様子でした。例えば皇室外交やプロトコル、英語の学び方などの本を執筆頂くことはできないでしょうか。宮内庁インスタグラムでも、例えば英キャサリン皇太子妃のように、雅子さまご自身のお言葉で発言される様子を伺いたいところです。

 本を出された最初の女性皇族は、上皇后美智子さまでしょうか。絵本や翻訳ものですが、民間から初めて皇室に嫁ぎ、新しい風を吹き込まれ、ご自身の自己プロデュース力に長けていらした、との見方もできるかもしれません。雅子さまは外務省出身という「キャリア路線」で、違う自己プロデュースをして頂けたらと思います。

(構成/昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員・藤澤志穂子)

AERA 2025年2月17日号

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