東京都知事選での街頭演説後、聴衆とハイタッチする石丸伸二氏=2024年7月
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 SNSを駆使した選挙戦略で東京都知事選では多くの票を集め、地域政党「再生の道」を立ち上げた石丸伸二氏。6日に開いた記者会見では、すでに490人の応募があったことを明らかにした。ただ、都知事選でのライブ配信業者への支払いをめぐっては、公職選挙法違反(買収)の疑いがあることを指摘され、石丸氏自身も「不備があったのは事実」としている。少し前の記者会見では、フリーの記者に厳しい参加条件をつけたことが騒動にもなった。何かと話題が多い石丸氏だが、先の都知事選などで見えた熱狂的な支持者のうち、若者の“石丸離れ”の動きが顕著に出ているという。専門家は「それも織り込み済みでは」と話すが、どういうことだろうか。

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「石丸さんにはもうついていけない」

 そう語るのは、東大生の加藤雄太さん(仮名/23歳)。もともとは熱心な“石丸信者”の一人で、都知事選の時は街頭演説にも足を運んだという。

「石丸さんのことは安芸高田市長の時代からSNSのショート動画で見ていました。議員や地元メディアに対し、真っ向からしっかりものを言っていた姿が印象的でした。SNSで身近に感じていた政治家だったこともあって、都知事選の時は街頭演説に10回くらい足を運びました」

 加藤さんはその後も石丸氏を追いかけ、SNS上での配信や、ニュースをこまめにチェックし、石丸氏の動きに注目していたという。

フリー記者を排除した記者会見

「石丸さんは、自分のゼミや仲間内でもよく話に出てきます。周りの学生たちも、石丸さんが新しい風を吹かせてくれるだろう、と期待する声が多かったんです。世間で石丸さんが話題になっていたこともあって、腐った世の中を変えてくれるのでは、と思っていました」

 そんな中、加藤さんの気持ちを折る出来事があった。石丸氏の新党「再生の道」の記者会見だ。

 石丸氏は会見への参加資格について、都庁記者クラブや雑誌協会に所属する大手メディア以外のフリーランス記者に対しては、「登録者数100万人相当のネット媒体」であるかどうかを基準として設けた。その結果、ほとんどのフリー記者の出席を拒む形となり、会場の入り口付近では、もめる騒ぎとなった。

 さらに石丸氏は会見冒頭でその騒ぎに触れ、

「ラーメン屋の開店前みたいになっていたんですが、あのみな様はどなたなんですかね」

「出待ちなのかな? 私も暇があればお付き合いするのは構わないのですが」

「この後もスケジュールがありまして、可能な限りでいじって差し上げたいと思います」

 などとちゃかすような発言をした。

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「排除」を若者はどう見たのか