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留学斡旋をめぐるトラブルによる被害は、学費の二重払いなど金銭的なものにとどまらない。突然、別の学校に入学させられたり、帰国に追い込まれたり。子どもたちが翻弄されている。この問題を継続取材するAERAの第3弾記事。AERA 2025年2月17日号より。
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留学を夢見てカナダへと渡った少年は登校初日、教員から名前を呼ばれることなく、体育館に一人取り残されていた──。
コロナ禍で急激に落ち込んだ海外への留学者数はこのところ徐々に戻り始めている。そんな中、高校生の長期留学先として人気のカナダで、斡旋(あっせん)業者と利用者の間にトラブルが起きている。昨年7月と10月にAERAで掲載した留学を巡るトラブル。記事を見たとメールをくれたのは首都圏在住の保護者だった。〈記事に出ていた会社は多分、うちが被害に遭った会社だと思います〉。保護者に連絡を取ると、数々のトラブルが起きていた。
幼い頃から英語を習っていた息子の希望で中学からの留学を考えたこの家庭、いくつかの業者にコンタクトを取る中、見つけたのがウエストコースト・インターナショナル株式会社(細越美和代表)だった。現地にオフィスがあり、スタッフもいるため、受け入れから現地でのサポートまで万全の体制で迎えるという説明を受け、この会社に息子の留学サポートをお願いすることに。当初薦められたのは、カナダの公立学校A校。校風やプログラムも良かったため、申し込み手続きへと進み、学費やホームステイ代、サポート費用などの名目が並んだ見積もりを受け取り、指定の口座に振り込んだ。だが、出発直前、エージェントから突然ミーティングがしたいと連絡がきた。用件は「留学先の学校を変更したい」というものだった。
入学前日に別の学校に
担当者によると、A校の学区の治安が悪化し、安心して紹介できる状況ではないため、公立のB校にしたいという話だった。治安の悪化を示す資料も見せられたため、母親はこの提案を受け入れ、B校の入学を許可、予定通りの日程で息子は日本を出発した。息子を送り出して以降、母親はB校のホームページやブログを頼りに我が子の暮らしを想像していた。だが4カ月後、長期休暇を利用して一時帰国した息子の言葉に両親は凍りつく。
「なんか、B校の情報ばかりLINEで送ってくるけど、僕が行ってるの、そこじゃないから」