瀬戸内ジャムズガーデンでも例年の約1.5倍の価格でミカンを仕入れており、そのほかの経費増加分も勘案し、ジャム類は6%ほど値上げして販売しているという。

気軽に食べられなくなってしまった

「原材料高騰に伴い本当はもっと販売価格を上げたいところですが、売れ行きが落ちるのも避けたいところなので、板挟み状態です。一方で、農家さんにも消費者にも近い立場にいる当社では、昨年から柑橘畑の中に古民家宿『おん宿 古今せとうち』を始めました。周防大島の『島が一つのホテル』というコンセプトのもと、島暮らし体験の拠点として利用していただければと思っています。“百姓”という言葉からもわかるとおり、多様な収入源を持つことは今後の農業者に必要になるかもしれませんね」

 庶民的な果物であったはずのミカンの価格が高くなり、気軽に食べられなくなってしまった。管理栄養士の菊池真由子さんが言う。

「箱で買う人が少なくなっているのか、スーパーでは5個や10個の袋入りをよく見かけます。それでも高いですよね。昭和の時代は玄関に箱詰めのミカンがあって、そこから取ってこたつに入りながらパクパク食べましたよね。我が家ではこたつの中に畳んだ洗濯物を入れて、よく中でそれを蹴飛ばしてしまってよく母に怒られたのを思い出します(笑)」

 冬の果物の定番だったミカンの代わりにこたつで何を食べたらいいだろう。

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マーマレードにすれば日持ちも