耐久性と注意点

 布製だと耐久性が低く「使い捨て」のようなイメージを持つかもしれないが、それは誤解だという。長距離の雪道走行に最も向いている樹脂製チェーンには及ばないものの、必要十分な耐久性を備えている。

「弊社の走行テストで、布製チェーンで圧雪路を500キロ走りましたが、全く問題ありませんでした」

 ただし、9割ほどアスファルトが現れた路面で走行テストを実施した際は、「120キロほど走ったところで裏地が見える状態になりました。ただ、アスファルト路面を走行したからといって、急なアクセル、ブレーキ、ハンドルの操作をしなければ、すぐに穴が開いてしまうことはありません」。

 注意が必要なのは、駐車時間が30分を超える場合で、布製タイヤチェーンを外す必要がある。湿気を含みやすい布製タイヤチェーンは、長時間の駐車の間に凍結する恐れがあり、凍結した状態で使用するとスリップ事故につながる可能性がある。雪道の渋滞などで動けない場合は、車の熱で凍結は防げる。

 使い終わったら、水洗いして汚れを落とし、日陰干しにする。乾いたら折り畳んで収納袋に入れて車内に戻す。

 どんな種類のタイヤチェーンでも雪が降る前に装着の練習をしておくことが肝心だと、服部さんは言う。

「都会の場合、気温が下がる夜に雪が降ることが多い。暗いなかで取扱説明書を読みながらチェーンを装着するのは大変です。事前に練習しておけば、いざというとき、落ち着いて対応できます」

左から樹脂製、布製、金属製のタイヤチェーン=中発販売提供

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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