雪がめったに降らない地域だからこそ、事前に備えておきたい(写真はイメージ/gettyimages)
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 めったに雪の降らない東京都心でも、3月にかけて雪が積もる日がある。車の雪道対策は済んでいるだろうか。いま、「布製」のタイヤチェーンが人気だという。

【チェーン徹底比較】ツルスベなのに滑らない! 布製VS樹脂製VS金属製

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ワイシャツ程度の大きさ

 布製チェーンは収納袋に入った状態で、畳んだワイシャツ程度の大きさ(普通乗用車用)。重さは約800グラム、表面の感触はツルツルで、ポリエステル製だという。

「『本当に滑り止め効果があるんですか』と、よく聞かれます」と、タイヤチェーン製造販売の最大手、中発販売(名古屋市)の服部大輔さんは言う。

布製タイヤチェーンの表面はスベスベしている=米倉昭仁撮影

 服部さんは高速道路会社や大手カー用品店が主催するタイヤチェーン講習会で講師を務め、使用方法などを伝えてきた。

「弊社が行った雪道走行テストでは、布製チェーンは従来の金属チェーンやスタッドレスタイヤと同等の制動力を発揮しました」(服部さん、以下同)

 同社は自社ブランド製品を含めて、さまざまなタイヤチェーンを扱うが、最近、最も人気があるのはノルウェー生まれの布製チェーン「AutoSock(オートソック)」だという。価格は樹脂製チェーンより若干安い2万円弱(普通乗用車用)。

 AutoSockは2000年に発売された世界初の布製チェーン。今では世界の自動車メーカー約20社が純正オプション品として採用する。NEXCO東日本やJAF、国土交通省・各地方整備局のサービスカーにも配備されている。

 21年度の国内におけるタイヤチェーンの販売構成比は樹脂製60%、金属製25%、布製15%だったが(中発販売調べ)、布製の比率が年々増加し、23年度には樹脂製と並んだ(41%)。今年度は布製がトップになる見込みだという。

折り畳んだ状態の布製タイヤチェーン=米倉昭仁撮影

着脱がかんたん

 人気の大きな理由は着脱の容易さだ。これまで主流だった樹脂製チェーンはタイヤのゴムとの摩擦が大きいため、装着するにはかなりの力が必要だった。

「自分でつけることを断念して、JAFに装着を依頼する方もいます」

 布製チェーンの場合は、タイヤの接地部以外にかぶせてから、タイヤ半回転ぶん車を移動し、残りをタイヤにかぶせるだけ。多少タイヤからズレて装着しても、少し走行すると自動的に正しい位置になるという。

車を少し移動して布製タイヤチェーンの残り半分をかぶせる=米倉昭仁撮影
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