海外に利益が流出
東京証券取引所によると、23年度は外国人の日本株保有比率(金額ベース)が31.8%を占めた。日本の労働者たちが汗水たらして働き、知恵を出して厳しいコストカットにも応じて出した利益は、海外の機関投資家にその果実の多くが流れている現状は否めない。
スズキ氏は「企業が生み出す付加価値を役員や従業員に適正分配することが持続的成長につながる」と訴える。そのうえで「従業員株式報酬制度の導入だけで経営改善が図れるものではありません。これを象徴的な転換点とし、会社と従業員の結びつきを深め、ウェルビーイング(心身の健康)の改善策を打ち出し、投資家の協力を求める努力が必要です」。
従業員が普通に株主となり、経営感覚を磨くことが日本経済の復活につながるのか注目される。(経済ジャーナリスト・加藤裕則)
※AERA 2025年2月3日号